会社独自の「オンリー・ワン」の就業規則

会社独自の「オンリー・ワン」の就業規則

他の会社の就業規則やひな形をそのまま使うと、実際に運用できないということがあります。
会社の実情や方向性に合わせた、その会社その会社独自の「オンリー・ワン」の規則にするのが、
就業規則の本来理想の姿です。
そうすることで円滑に運用できる「会社のルール」なります。

 

同じような会社の就業規則や規定例をそのまま使うリスク

同業種の同じような規模の会社の就業規則をそのまま使用している会社も見かけますが、
「同じような」会社でも「同じ」会社ではありません。

 

慶弔休暇や有給休暇、夏休みや冬休みなどで自分の会社と違う場合でも、そのまま運用しなければいけなくなります。
就業規則は会社のルールブックですから、会社と言えども逆らえません。

 

また、就業規則のひな形をそのまま使った会社が多くあります。
ひな形は無料サイトなどからダウンロードできますが、現行の法律に合わない古い情報のものもあります。

 

実際の運用と違う規定がされていた場合でも、規定されている通りに運用しなければならないことになります。

 

つまり、ここでお伝えしたいことは、就業規則は自社の実績に則して個別具体的に規定を検討する必要がある(という趣旨です。)「モデル就業規則」の社名だけを自社名に変更してそのまま利用するとトラブルになるリスクがあります。

 

また、厚生労働省もモデル就業規則について、厚生労働省のホームページ内で、
「次に掲載しております『モデル就業規則』の規程例や解説を参考に、各事業場の実情に応じた就業規則を作成・届出してください。」との記載があります。

 

モデル就業規則をそのまま使うのではなく、実情に応じてカスタマイズをするように明記しております。

 

いまと将来の問題に対応させる

労働トラブルや問題の内容は日々変化します。
労働トラブルや労働問題に対して、古い就業規則やひな形のままの就業規則では対応できません。

 

「就業規則は洋服と同じ」です。社内、社外の変化に合わせて、その都度こまめに対応することが、
労働トラブル回避の労務管理には欠かせません。

 

成長したら、その成長に合わせて洋服を着替える。
少年期は自由に動きやすいのジャージから、青年期にはスーツに着替えるのと似ています。

 

就業規則は労使ともに守るもの

就業規則は「従業員を縛るためのもの」と考える会社もありますが、就業規則に書いてあることは、従業員はもちろん、会社も守らなければなりません。
作成した就業規則は、従業員は服務規定などを守るルールがあるように、会社は福利厚生規定などを守るルールになります。

 

就業規則は従業員と会社の双方が守らなければならないルールなのです。
就業規則を作成の際には、運用できるのか検討しながら作成することが重要です。

 

従業員に不利な変更や改訂は難しい

 

労働者に有利な規定にはいくらでも変えられますが、いったん決めてしまうと、
労働者に不利益な変更は原則できません。

 

労働契約法や裁判例などで、労働者の合意なく、
一方的に労働者に不利益になる変更は原則できないとされているからです。

 

原則というのは、不況で経営の継続が危ぶまれる場合など、限定的な場合です。
景気のいい時に無理をした福利厚生規定を作ると、あとで修正が利かない場合があるので注意が必要です。
ここにも会社の実情と合っていない就業規則を使うリスクがあります。